コーポレートベンチャー:「1勝9敗」はどれだけ凄いのか?

2009.01.23

経営・マネジメント

コーポレートベンチャー:「1勝9敗」はどれだけ凄いのか?

入野 康隆

コーポレートベンチャーは独立系ベンチャーとは事業計画の考え方も少し違うので、解説します。

こんにちは、経営コンサルタントの入野です。

今年もよろしくお願いします。

【昨年のご報告】

本日のトピックは
コーポレートベンチャーの事業計画の考え方です。

===== 初級者によくある間違い ======================== 

■■■ 何を現実的な目標とするかが不明確

「新規事業やります!100%成功するやり方を教えてください!」
「新規事業はやりましたがダメでした。今回もどうせダメでしょ?」
という両極端な反応がよくあります。

このような過度な期待とその裏返しにある極端な懐疑論の原因は、
新規事業の成功確率の相場を知らないからです。

目安として、大手ベンチャーキャピタルの年間ディールフローを参考にすると:

・ 電話や面談するだけの興味が湧くレベル: 12000社(≒100%とする)
・ デューディリジェンスまでいくレベル: 400社 ≒ 3%
・ 投資実行までいくレベル: 90社 ≒ 0.7%
・ IPOやBuyoutまでいくレベルはさらに15分の1~7分の1 ≒ 0.1%

「ベンチャーはセンミツの世界」と言われてきましたが、
1000社に3社≒ 0.3%も実際にはないということです。

「1勝9敗」という本が「ユニクロでさえ10%」というニュアンスで
最近出版されていますが、もし本当に1勝9敗ならば驚異的な高打率なのです。

一般的に新規事業の目標は大きく分けると4つ。

目標1: 売上や利益を得て儲けること
目標2: 儲からなくても戦略的な事業領域を増やすこと
目標3: プロジェクトメンバーの人材育成
目標4: 挑戦する企業文化をつくること

たとえ新規事業自体は失敗しても、
「目標3. プロジェクトメンバーの人材育成」だけは
現実的に達成できる目標
です。

社長の視点で事業を考えられる将来の社長候補を育成することができるだけでも、経営者人材の不足に悩む企業はコーポレートベンチャーをやる価値があります。

■■■ 社内レビューでエッジを丸めてしまう

社内会議や稟議を繰り返し、弱みやリスクばかりを指摘されて、
革新性がなく特長もない製品サービスになってしまうケース。

ポイントは

■ 強みを伸ばすことが弱みを消すよりも大切であると考える

■ 内部の意見よりも顧客や競合からのヒアリングを重視する

■ 初期段階では官僚的組織から隠した「サブマリンプロジェクト」にする

===== 中級者でもよくある間違い ======================== 

■■■ カニバリを気にしすぎる

次のページ本当はカニバリが発生するぐらいがいい

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