プライシングでもう一つ留意すべくは競合の価格だ。大手同士が揃って値上げということだが、代替となる存在があれば、そちらに顧客は流れてしまうかもしれない。
例えば女性専用のサーキットトレーニング・ジム「カーブス」。設備を絞り込み、トレーニングをセルフサービス的に提供するビジネスモデルは、消費者の低価格志向を見事にとらえ会員をどんどん伸ばしている。カスタマーバリューの閾値を超えてしまえば、「別にプールがなくたっていいか!」と割り切ってスイッチするユーザーも多くなるだろう。
さらに気になるのが、「幽霊会員」の存在だ。筆者にも身に覚えがあり、忸怩たる思いがあるのだが、入会金を払って月々の会費を払っているにもかかわらず、なかなか足を運ばない会員は実は相当数に上る。現実に全ての会員が押しかければ、設備的には破綻するはずなのだ。フィットネスクラブに限らず、会員サービスは活性度の低い会員に支えられているビジネスモデルでもある。その「幽霊会員」が、値上げの報に「この際やめちゃおう!」と思う可能性は低くない。
政治の世界に目を移せば、消費税率のアップが論議されているが、必ずセットで考えるべき歳出削減の議論が非常に希薄である。企業の値上げも、原価上昇を吸収ししれないという苦しい事情があるのかもしれないが、値上げの前に今一度、思い直すことが必要なのではないだろうか。「入りを生じて出を制する」がビジネスの基本なのだ。
フィットネスクラブがピンチだ!
金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
金森 努/営業/マーケティング
相次ぐ値上げラッシュの中で、フィットネスクラブの大手も値上げに踏み切るようだ。原油価格の高騰や電気料金の値上がりを吸収しきれずに会員に転嫁するとの判断であるが、果たして大丈夫なのだろうか?
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