拠点数日本一、地域密着型VCの独自戦略について 第1回

全国に10カ所、日本最多の地方拠点を持つのがフューチャーベンチャーキャピタル社。京都に本拠地を置く独立系ベンチャーキャピタルだ。後発、小規模ゆえに考え抜かれた同社の戦略展開の秘密に迫る。

▲【投資先上場企業一覧】
投資先は様々な業種・業態に加えて、エリアも東北から四国までに及んでいる。

■成長を判定する基準

「INSIGHT NOW!の特集で取り上げられていた夢の街創造委員会さんも我々の投資先でした」

中村社長のインタビューでも、ベンチャーキャピタルの話が少し触れられていた。同社は創業後しばらくして資金ショートに陥り、社長交替によってV字回復への軌道に乗る。

「我々は2回に分けて合計数千万円の投資を行ないました。2回目に資金をいれたのが、ちょうど社長交代の頃です。この投資はそこそこ効いたんじゃないでしょうか」

FVC社で注目すべきは投資先ベンチャー企業に対する目の付けどころである。川分氏はベンチャー企業を目利きするときの基準として3つのポイントを挙げている。

「技術力や革新性、さまざまな要素があることは当然ですが、まず何よりも経営者の考え方と思いを大切にしているのは先ほど述べた通りです。あと二つ大切なモノさしがあって、一つにはその企業のやっていることが時代の流れに乗っているかどうかを見ます」

高齢社会の到来に備えて車イス専業メーカーへと大きく舵を切ったカワムラサイクル、ネット社会への移行をいち早く読んで事業展開に乗り出した夢の街創造委員会の二社はともに合格点に達している。

「もう一つの条件が、一点突破に集中しているかどうか。ベンチャーが手を広げてはダメ。ヒト、モノ、カネに恵まれない状況でビジネスを立ち上げるのがベンチャーです。持てる力をワンポイントに絞り込まないと前へは進めない」

非力なベンチャーゆえ鉈をふるって壁をぶち壊すような破壊力は持ち合わせていない。しかし極限にまで先を尖らせたキリなら、たとえどんなに小さなくとも穴をあけることはできる。

「蟻の一穴でも開けてしまえば、可能な限り一気呵成にシェアを取ってしまうこと。最初にどれだけ先行できるかが、その後の成長のカギを握ります。出前館がネットでの宅配注文マーケットで、まさに一気にデファクトを掴んでしまったように。実は我々自身もベンチャー企業であり、一点突破を基本的なスタンスとしてこれまで事業展開してきたのです」

自らもベンチャー企業として上場を成し遂げたFVC社自体の起業戦略はどのようなものだったのだろうか。

▲京都の風景
歴史ある街・京都にFVCは本拠地を置く。

⇒次回「京都を日本のシリコンバレーに」へ続く(全四回)

『フューチャーベンチャーキャピタル株式会社関連リンク』
フューチャーベンチャーキャピタル株式会社
http://www.fvc.co.jp/

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