もう一つ、この映画で印象的だったのが、登場人物のセリフ。
この映画の見所は傲慢だが孤独な老人・大貫(役所広司)と、1日で記憶を失ってしまう少女パコ(アヤカ・ウィルソン)のピュアな心の触れ合いだ。大貫は少女への憐憫と自らの孤独を癒やすため、自らを少女の記憶を留めさせようとする。不器用な接し方ながら、毎日少女のために絵本を読んで聞かせたり、少女を喜ばせようとする。しかし、翌日には少女はそのことを忘れてしまう。その日その日、少女に喜びを与え、少しでも翌日の記憶に残そうとする。そこで何度か「明日じゃ駄目なんだ」というセリフを口にするのだ。翌日には少女は忘れてしまうから。
「明日じゃ駄目なんだ」。
今日すべきことを明日に先送りすることは誰しもやることだ。しかし、本当にそれでよかったのか。
アメリカの社会学者 チャールズ・ホートン・クーリー(Charles Horton Cooley: 1864-1929) は言った。
「明日はなんとかなると思う馬鹿者。今日でさえ遅すぎるのだ。賢者はもう昨日済ましている。」
少女パコは、いつも昨日と今日を生きている。明日という日が来ないから。だからこそ今日が大切なのだ。しかし、それは、ビジネスの世界でも、我々の日常生活でも同じことなのではないだろうか。明日のことなど誰もわからないのだから。
「明日じゃ駄目なんだ」。
「明日じゃ駄目なんだ」。 映画「パコと魔法の絵本」
金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
金森 努/Life & Style
クセの強い役者と極彩色の世界感で、どこまで子供向けのストーリーをオトナ向けに演出できるのか。天才といわれる中島監督の手腕やいかに・・・。と少し醒めた興味で観はじめたが、途中で「これって、何年かに1本の傑作じゃないか?」と思った。その傑作たる理由は・・・。
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