「三丁目の夕日」が描く昭和は、本当に良い時代なのか?

2008.09.15

ライフ・ソーシャル

「三丁目の夕日」が描く昭和は、本当に良い時代なのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

映画「三丁目の夕日」の全篇に溢れている夢と人情に、 素直に目頭を熱くもするが・・・ 経済成長の止まった平成のこの時代に、 あの頃の憧憬にどっぷりつかって思考停止することには、いささか反発を覚える。 ぽっちゃん便所のあの時代に・・・ 昭和37年生まれの私は、戻りたいとは思わない。

あの昭和の時代は、ほんとに良かったのか。
義理と人情に溢れ、少年による殺人事件も、何もなかったのか。

下記は、
東京タワーが完成した昭和33年に起こった未成年殺人事件の抜粋である。

昭和33年5月12日「中学2年生がカッとして幼児殺人」
広島県で、中学2年生(14)が男の子(6)を殺害した。男の子が造っていた砂山を蹴飛ばしたため悪口を言われ、カッとして頭を竹で突いて転倒させて失神させた。処置に困って林に運んだが、まだ生きていると気づいてこれ以上苦しまないように殺そうと石で頭を殴ったもの。これまでも些細なことでカッとして幼児3人を殴ったりしていた。父親は戦死して、母親に育てられていた。

昭和33年10月2日「17才が片思いの幼なじみを駅で惨殺」
福島県伊達郡の保原駅ホームで、土木作業員(17)が高校3年生女子(17)を電車から引きずり出してシノ(とび職の道具)で首を数回突き刺した。血まみれの手を洗って煙草を吸ってから倒れている女子の周りをうろうろして「警察を呼べ」とわめき、「これでもか!思い知ったか!」と叫びながらさらに20数回めった刺しにして殺害、その場で逮捕された。夜のラッシュ時で大勢の乗客や駅員がいたが誰も留めようとはしなかった。
隣り同士の家で小中学校の同級生。貧しい家庭の5人兄妹の3男で、中卒後は各地で出稼ぎをしてたが、たびたび帰郷して女子への想いを募らせ、酒に溺れて自殺未遂もしていた。オート三輪を親に買ってやるため貯金していた4万円を渡して、二度と戻らないつもりで家を出たが、電車でたまたま登校中の女子を見て、帰宅を駅で待ち伏せて好きだと告白したが相手にされなかったため逆上したもの。取り調べにも煙草を吸って平然としている。女子は成績優秀、美人で評判だった。

残念ながら、今も昔も変わらない。
いやっ、正確に言うと、昭和の頃の方が、少年犯罪は多かったのだ。
少年犯罪データベースによると、昭和30年代後半には、年間400件近くあった未成年の殺人犯検挙数が、平成18年には、73件。少年人口(10~19歳)10万人当りの比率で計算すると、2.0であったものが0.59へと減っている。

「三丁目の夕日」の街で起こる未成年の殺人犯罪率は、
現在の3倍以上なのである。

狂う子供は、今も昔も居るっ。
結局、体感している治安っていうのは、いい加減なもので・・・
大部分が実体験ではなくマスコミによってもたらされているのではないかっ。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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