日本初にして唯一のエコ融雪装置『ゆりもっと』開発物語 最終回

2008.05.20

開発秘話

日本初にして唯一のエコ融雪装置『ゆりもっと』開発物語 最終回

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

北の都・札幌は冬場、どか雪に悩まされる。降り積もった雪を溶かす融雪装置だが、従来のものはムダの多さが欠点だった。「何とかムダをなくし、環境ダメージを抑えられないか」。エコで北海道を良くしたいと願う若手社長の熱い思いが生んだ画期的な装置が『ゆりもっと』だ。

経済産業省と総務省が共催し、モバイルを活用した優れたビジネスモデルに贈られるのが、このMCPC award 2008である。奨められてその気にはなったものの、過去の受賞企業を見ればいずれも名だたる企業ばかり。ところがダメもとで応募した『ゆりもっと』は意外なことに、とんとん拍子で審査をクリアし、いよいよ残すところは東京での最終審査だけとなった。

「ここまで来たら大賞を狙うぞって、僕もですがKDDIの方も気合いが入っちゃって。プレゼンにはかつてないほど時間をかけて準備して臨みました。会場での手応えもばっちりありましたよ。もしかしたら、いけたんじゃないかなんて思うぐらいに」

結果は惜しくも大賞こそ逃したものの、見事に中小企業賞を射止めることになる。特許とこの受賞は、類似製品を駆逐するための何よりの武器となる。しかも『ゆりもっと』は実際に、とんでもない成果を叩きだした。

「この冬のデータをいま、まとめているところなのでまだ速報値なんですが、最大で前年対比9割の燃料費削減に成功したお客様がおられます。この冬の導入実績が約100台、トータルでの燃料費削減効果は1億円ぐらいになりますね。灯油換算すれば100万リットル分ぐらいの節約効果でしょう」

灯油代を削減することは、余計な二酸化炭素を出さないことであり、それはすなわちエコモット社がめざすエコの実現に直結する。入澤社長の志は、見事な成果となったわけだ。

とはいえ『ゆりもっと』は季節商品である。雪の降らない間は、何をビジネスにするのか。

「ケータイとカメラの組み合わせは、実に多様な展開が考えられるんですね。このたび太陽電池とバッテリーを組み合わせて、無線・無電源での遠隔監視システム『ミルモット』を開発しました。とはいえ、単にこのシステムを売ろうとは我々は考えていません。我々が提供するのは、こうしたシステムを活用することでお客様が得る価値だと考えているからです」

システムではなく、システムが実現する価値に注目する。これこそが入澤社長がアメリカで仕込んできた種と言っていいだろう。その種にエコという滋養を加えたときに、どんな花が咲き誇るのだろうか。エコモット社は、エコ、モバイル、北海道をビジョンに掲げている。そして入澤社長のコア・コンピタンスはモバイルだ。今年エコモット社がどこまで飛躍するのか。その活躍ぶりは要マークである。

~特集インタビュー「日本初にして唯一のエコ融雪装置『ゆりもっと』開発物語」完~

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

INSIGHT NOW! 編集部

インサイトナウ株式会社

INSIGHTNOW!運営事務局/編集部です。

フォロー フォローしてINSIGHT NOW! 編集部の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。