失敗学(3)大失敗する人の7つの習慣

2007.04.24

経営・マネジメント

失敗学(3)大失敗する人の7つの習慣

橋口 寛

企業の大失敗の要因を分析していた我々がたどり着いた結論。 それは、驚くべきものでした。 「大失敗は、トップが“名経営者”だからこそ起こる」 それが、我々チームがたどり着いた結論だったのです。

補足するならば、「トップが自らを名経営者であると認識したとき、それが大失敗の始まりとなる」のです。
自らを“名経営者”であると認識する。この危険な自己認識のことを、フィンケルシュタイン教授は「優秀さの幻想」と名づけました。

大失敗を起こすトップに共通する習慣を、以下に「大失敗する人の7つの習慣」として紹介します。
皆さんの組織のトップにこのような傾向がないかどうか、
皆さんご自身にこのような傾向がないかどうか、
是非チェックしてみてください。

その1 自分や自社が環境を支配していると考えて、素直に環境に反応しようとしない。
CEOは、自分の管理能力が会社の浮沈を決めると自負しています。
もちろん、そのこと自体は決して悪いことではありません。
しかし、その認識があまりにも強まっていくと、やがて自分自身で事業環境を作り出せるかのように錯覚をし始めます。
結果、外部環境の変化に気づいても、「俺ならこの環境自体を何とかできる」と思い込み、変化への対応が遅れてしまうのです。

その2 自社と自分を完全に同一視してしまい、公私の利害を混同してしまう
組織のトップは、よほど気をつけていないと、組織と自己を同一視し始めてしまいます。
トップに就任したての頃は、誰だって自制が効いているものです。
しかし、その地位に、3年、5年、7年・・・といるうちに、やがて、「これだけの成果をあげているのに、組織のリソースを自らのために使用して何が悪い」と思い始めます。
トップの公私混同の結果、組織全体のモチベーションがそがれ、業績に悪影響を及ぼしていった組織は、一般に知られているよりも、多く存在します。

その3 全知全能を気どる。そして困難な課題に対して迅速かつ決然と対応し、周囲を驚嘆させる
 「矢継ぎ早に決断を下していく有能な自分」の姿に酔う傾向のある経営者は、大失敗を起こしやすいことは間違いありません。
絶え間なくイノベーションのつづく世の中で、いかに有能な経営者といえどもたった一人ですべてを掌握することなどできるはずもありません。
なのに、こうした経営者は、部下の前で「知らない」とは、決して言えないのです。
世の中にはグレーが多く存在しているというのに、常に瞬時にシロかクロかを判断してしまう。
曖昧さの過度な排除は、極めて危険な兆候です。

その4 自分を一〇〇%支持しない人物は排斥する
トップが名経営者であればあるほど、この傾向は強まります。
これは、企業経営者だけでなく、行政府のトップであっても同様です。
周囲をイエスマンばかりで固めるトップを戴く組織は、失敗に向かって進み始めた時、ブレーキを持たない暴走機関車となるのです。

次のページその5 会社のスポークスマンになりきり、会社のイメージ...

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