「そら、あめ、かさ」の本当の意味

画像: Philipp Zurmöhle

2008.03.07

仕事術

「そら、あめ、かさ」の本当の意味

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

コンサルティングファームで使われるフレームワークで最もポピュラーなものが、「空、雨、傘」と言われるフレームワークである。ただ、残念ながら一般的にはなぜか普及しない。知っている人もいるが、本質的な理解に基づいて使えている人は、あまり見たことがない。一度、立ち止まって考えてみれば、本意の理解が深まり、使える方向に向かうと私は思うので、この機会に立ち止まって考えてみたい。

 「空、雨、傘」とは文字通り、「空を見て、雨が降りそうだから、傘を持っていこう」の略です。これは企業の意思決定を支援するフレームワークとして非常に強力です。

 意思決定は何を決めるかといえば、アクションを決めるんですね。打ち手でも、施策でもいいですが、何をするのか?と決める。でも、根拠がないと決められませんね。

 ごめんなさい。根拠の前に方向性がありますね・・・。

 この、「空を見て、雨が降りそうだから、傘を持っていこう」は、「出掛けたい」という方向性を持った人のお話しです。


 出掛けたい人が、空を見る。


 空を見ると、どうも、雲がある。風は北西の風。湿った空気が流れ込んできている。

 空を見れば、多くのファクトが得られます。天気を決定する大きな要因は、大気の状態ですね。温度、湿度、雲の発生。上空の気圧や、周囲の気圧状況までは見ただけではなかなかわかりませんけど・・・。

 でも、出掛けたい人は思うんです。


 うーん。これは雨が降りそうだ、と。


 ここは、良く考えるとすごいことを言っています。空を見ただけで雨が降りそうだ!と言ってしまう。判断してしまう。この人は天気予報職人でしょうか?

 私が小学校の時の先生は、夜に犬を連れてランニングすることが日課で、独自の天気予報を次の日の朝に発表していました・・・。けっこう、当たっていましたね。

 でも、人間の感覚というのは、訓練を繰り返すことで、すごくなっていきます。指先の感覚で、金型の微妙な傾斜を作っていくおじさんたちが、川崎や大田区のあたりにはたくさんいますね。

 で、ずーっと天気を予測し続けている人というのは、天気を当てたりします。はずすことも当然ありますが。

 そう、雨が降りそうだ、はあくまで予測で、当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。でも、出掛けたい人は、そう思った。


 だから、「傘を持っていこう!」ということを決める。


 でも、なぜ傘なのか?というのは大事なことです。傘しか持っていない人なのでしょうか?雨合羽はスタイルに合わないから着ないのかもしれません。

 雨が降るとしても、持って行くものには、いくつかの選択肢がある中で、傘を持っていくんですね。そういうことを決めているんです。


 まわりくどい説明をしましたが、このプロセスと企業の意思決定は同じですね。


 「出掛けたい」は企業としての意思です。ビジョンの実現に向かうには、この方向に行かなくてはならない。

 でも、外部の環境はどうなのか?を見てみるのが、「そら」の部分です。空を見るのは、周囲の環境を見ている。いわゆる外部環境分析です。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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